LACT-450(ラクト)はスプラトゥーン3の全ブキで最も高いパワーレベルを誇ると筆者は考えている。
パワーレベルは主に二つの観点から見定められる。
一つ目はトップバリュー。
上位プレイヤーによってそのブキの最大値が引き出された場合の強度。
二つ目はアベレージ。
初心者から上位プレイヤーに至るまで「誰に使わせても強い」というそのブキが持つ絶対値の高さである。
パワーレベルが語られる際、どうしても主観性の強い前者のみが語られがちだが、ブキの本質的なパワーレベルを後者無しに量ることは不可能だ。
例えば一つ目の基準だけで見た際、多くのプレイヤーが【スクリュースロッシャー】を挙げるだろう。未だに上位帯ではトップレベルの活躍を見せている。
何よりタンサンボムが便意を催すほどウザい。しかし後者の基準に当てはめた際、【スクリュースロッシャー】はそこまで逸脱したブキではない。何故なら活躍するためにエイム(シューティングスキル)が必要不可欠だからだ。
何を当たり前のことを言っているのか…と思われるかもしれないが、エイムが無くてもゲームへの寄与率を維持できるラクトは後者の基準において圧倒的な地位を誇る。
何故なら敵と対面して撃ち勝つことが難しい初心者でも、塗ってスペシャルをプレイするだけで勝利に貢献できるからである。
その上で一つ目の基準でもハイアベレージなラクトこそ、スプラトゥーン3の全ブキで最も高いパワーレベルを有していると私は分析している。
ラクト(【マルチミサイル】)の強度
ラクトのパワーレベルを支えているのは、言わずもがなスペシャルに搭載された
【マルチミサイル】の強度だ。回避するために広い足場を必要とする上、自身が逃げることだけを考えても味方に被弾する恐れがあることから、受ける側が気を払わなければならない要素が多く、拘束力が高い。
それでいて複数人をターゲットに取れるため、純粋にアクティベート時の影響力は高めのスペシャルになっている。
また、遮蔽を無視してターゲットを追尾するため【ウルトラショット】などと異なり、ターゲットへ確実に影響を及ぼすことが出来る点も非常に優秀。
何より【メガホンレーザー5.1ch】と同様、超遠隔から機能するスペシャルであるため
・前線でのみ活躍できる【ホップソナー】【グレートバリア】
・目視した敵を攻撃する【ウルトラショット】【ナイスダマ】
などと異なり、プレイシチュエーションを選びにくい(いつでも適当に使って強い)ことから、「自軍塗り→スペシャル」が強力なムーブとして成立している。
以上より、影響力(パワー)・確実性(アベレージ)・超遠隔(レンジ)と全ての要素を高水準で備える【マルチミサイル】は実戦においても高い出力を発揮している。
メインの高い塗り性能によってこの【マルチミサイル】連打を可能としている点こそ、ラクトが強ブキである最大の要因だ。とりわけ【マルチミサイル】に関しては、その拘束力と複数人をターゲットに取れる点から、事実上のダウンタイム(ゲームに参加できない時間)を増やしやすいスペシャルになっており、ネガティブなプレイフィールをユーザーに植え付けやすい。
これもあってか、ナーフ(弱体化)を希望する声をよく見かける。先に論じたパワーレベルも含めると当然の反応とも言えるだろう。
しかし、これらを加味した上でもラクト(もしくは【マルチミサイル】)のナーフは望ましくないと筆者は考えている。それが何故かを語るにはスプラトゥーンがどのようなゲームかを分解する必要がある。
スプラトゥーンのアイデンティティこのゲームにおいてアドバンテージを獲得する(勝ちに近付く)方法は大きく2つに分かれる。
一つ目は撃ち合いで一方的に勝つこと。
二つ目は塗り+スペシャルでゲームに寄与することだ。
PvPシューティングゲームの多くは「撃ち合いで勝つこと」が勝利条件に直結しており、逆を言えば撃ち合いで負けると勝てないゲームになっている場合が多い。
一方、先にラクトの話でも触れたように、スプラトゥーンでは撃ち合いで勝つ他に「塗り+スペシャル」というアプローチが残されており、シューティングが苦手な人でも「キルを取る」「勝利に関与する」といった快感を体験しやすい。
この「塗り+スペシャル」がもたらすハードルの低さこそ、スプラトゥーンが幅広い層にウケる理由であり、同時に他のシューティングゲームと並んだ際に際立つアイデンティティであると筆者は考えている。
そこでLACT-450(ラクト)の話に戻ると、
このブキは「強スペシャル+塗り性能」という強固なスキルセットによって、(言い方は良くないが)「下手でも勝てる(楽しめる)」というスプラトゥーンのアイデンティティを最も色濃く映し出しているのだ。
よってこれの安易なナーフはこういった
シューティングが得意でない層のプレイ動機を損なう恐れがある。パワーレベルの懸念じゃあ強すぎる場合もナーフしないのかよと言われると、仰る通りナーフする必要がある。
ただ先に論じたように、ラクトは「誰に使わせても強い」というブキが持つアベレージは高いものの、
トップバリューに関してはメタゲームを支配するほどには至っていないと感じている。よって、ライト~ミディアムユーザーの環境(各ブキのトップバリューが発揮されない環境)において支配的なパワーを演出していなければ、即座にナーフする必要はないと筆者は考えている。
さいごにここで、ラクトのナーフを唱える人を含め、99%のプレイヤーがラクト(スプラトゥーンのアイデンティティ)に守られていることを覚えておいて欲しい。
先ほどは「下手でも勝てる(楽しめる)」と良くない物言いをしたが、言い換えればこれは「格上の相手に勝ちやすい」になる。
99%のプレイヤーには自分より格上の相手が存在しており、ラクトを含め多くのブキが持つ「塗る+スペシャル」という選択肢は、こういった格上に報いる可能性を高めている。
私たちは誰もが少なからずこのアイデンティティに守られることで、スプラトゥーンを楽しめているのだ。これを度外視してアイデンティティを色濃く反映したラクトのナーフを唱えることは、スプラトゥーンの魅力ひいては自身のポジティブな体験を損なわせることにも繋がりかねない。
スクリュースロッシャーもLACT-450(ラクト)もそれ以外の全てのブキも、客観性の高い評価と最も幸福度の高い選択がなされることを期待している。
スプラ3ほんとに神ゲーだからね。初心者からトッププレイヤーまで可能な限り皆が楽しく遊べると嬉しい。
だがオバフロ、テメーはダメだ。マジで許さんからな。
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- 2022/10/17(月) 21:17:51|
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| コメント:3
おそらく、ラクトのナーフを叫んでいる人はこの記事を読んでもはっとしないと思います。
むしろ、「そんなこと分かっている。分かっていてナーフを求めている」という感想を抱くことさえあるようにも思います。
>トップバリューに関してはメタゲームを支配するほどには至っていないと感じている。
>よって、ライト~ミディアムユーザーの環境(各ブキのトップバリューが発揮されない環境)において
>支配的なパワーを演出していなければ、即座にナーフする必要はないと筆者は考えている。
>先ほどは「下手でも勝てる(楽しめる)」と良くない物言いをしたが、
>言い換えればこれは「格上の相手に勝ちやすい」になる。
これをさらに言い換えれば、「格下に運ゲーされて負ける」にもなります。
みすみさんの指摘はメタゲームまで分かっている立場からのものですが、ナーフを求めているのはミディアムユーザーなのではないでしょうか。
中級者からすれば、中級者と上級者の壁が厚くて乗り越えられないし、初心者にも初心者救済武器を使われ負けてしまう。
それでも頑張ってプレイするよりも、むしろ自分もラクトを持ってマルチミサイルを撃っていた方が勝ててしまうというように、不平等が原因で努力する意義が見出せなくなる。
そうして努力ができなくなった結果、上級者への道が遠ざかるという悪循環です。
悪循環というのは自身の力だけでは抜け出すことが困難な状況ですから、
そうなるとアプデでの調整を求めるか、ゲームから離れる以外の現実的な手段がありません。
そんな時に、止めとばかりにラクトナーフは間違っているという記事が重くのしかかってくると、もうゲームから離れるしか選択肢が残りません。
当然のことですが、文句のないゲームはありません。
コンテンツというのは制作者の思想に則って創られるもので、思想というものは世に無数に存在するからです。
では、ナーフを叫ぶ声が存在するのは、それほどにも恐れることでしょうか。
>私たちは誰もが少なからずこのアイデンティティに守られることで、スプラトゥーンを楽しめているのだ。
>これを度外視してアイデンティティを色濃く反映したラクトのナーフを唱えることは、
>スプラトゥーンの魅力ひいては自身のポジティブな体験を損なわせることにも繋がりかねない。
>スプラ3ほんとに神ゲーだからね。初心者からトッププレイヤーまで可能な限り皆が楽しく遊べると嬉しい。
おそらく、みすみさんはナーフを叫ぶプレイヤーに自身の考えを理解してもらおうとしたのだと思います。
しかし、実際のところみすみさんのそれは相手の否定で、スプラを楽しむことができなかったプレイヤーを追い出して、スプラを楽しめた人だけを残す行為です。
それは、スプラがどんどん先鋭化し、先細って、誰もが楽しめるゲームではなくなることに繋がります。
必要なのは否定ではなく共感することです。
「確かにこの人の立場に立ってみれば、ラクトをナーフして欲しいと言うのも分かるなあ」と考えることが、
スプラユーザーを減らさず、スプラを誰もが楽しめる場にすることに繋がります。
良かったら、今度は逆の立場に立って、ラクトのナーフは必要なのではないかという記事を書いてみて下さい。
視野が広がって、より客観的な判断ができると思います。
- 2022/10/20(木) 07:50:31 |
- URL |
- ume #GHYvW2h6
- [ 編集 ]
コメントありがとうございます!
順を追って返信しますね。
>おそらく、みすみさんはナーフを叫ぶプレイヤーに自身の考えを理解してもらおうとしたのだと思います。
>しかし、実際のところみすみさんのそれは相手の否定で、スプラを楽しむことができなかったプレイヤーを追い出して、スプラを楽しめた人だけを残す行為です。
>それは、スプラがどんどん先鋭化し、先細って、誰もが楽しめるゲームではなくなることに繋がります。
まずこちらに関しまして、仰る通り私は本記事を通して、ナーフを唱える前に今一度全体の利益を見直す機会となれば良いなと考え、自身の意見を発信しました。
そしてこれはナーフを要望する人へ対立する意見です。当たり前なのですが人が意見を発信するということは、必ず誰かの否定に繋がります。それは当然ラクトを楽しく使っている人が目にする「ラクトはナーフしてほしい」という声も同様に、です。
>悪循環というのは自身の力だけでは抜け出すことが困難な状況ですから、
>そうなるとアプデでの調整を求めるか、ゲームから離れる以外の現実的な手段がありません。
>そんな時に、止めとばかりにラクトナーフは間違っているという記事が重くのしかかってくると、もうゲームから離れるしか選択肢が残りません。
私は私自身の意見や、ナーフしてほしいというプレイヤーの声が、他者を否定するものであるということは認識していますが、だからと言って上記のように他者をゲームから離脱させる要因になるという主張はあまりに極端であると感じます。
どれだけのユーザーがラクトのナーフを唱えようが、実際にナーフが行われてもいないのにゲームを離脱するラクトユーザーはいないでしょう。
同様に私がどれだけ記事を書こうが、実際にバランス調整が発表されるまで、離脱するユーザーなどいないでしょう。
結局は仰られている「制作者の思想(=ゲームへの反映)」のみがユーザーの進退を決定付けるのです。
逆に万が一、人の意見が重くのしかかりゲームから離れるという人がいるならば、それこそ私はこの記事を書いた意味があります。
何故なら本記事は冒頭でも申し上げた通り「ナーフを唱える前に今一度全体の利益を見直す機会となれば良いな」と考え投稿したものだからです。
仮に私が思う以上に、多くの方が人の意見に対するガードが低いのであれば、ナーフの声に嫌気がさして多くのラクトユーザーが離脱することでしょう。
本記事がそういったナーフの声を上げる人たちに新たな視野を与え、ヘイトだけの投稿が減る機会になるなら、それこそが本記事の存在意義になります。
次に下記に関しましてです。
>みすみさんの指摘はメタゲームまで分かっている立場からのものですが、ナーフを求めているのはミディアムユーザーなのではないでしょうか。
>中級者からすれば、中級者と上級者の壁が厚くて乗り越えられないし、初心者にも初心者救済武器を使われ負けてしまう。
>それでも頑張ってプレイするよりも、むしろ自分もラクトを持ってマルチミサイルを撃っていた方が勝ててしまうというように、不平等が原因で努力する意義が見出せなくなる。
>そうして努力ができなくなった結果、上級者への道が遠ざかるという悪循環です。
これに関しては本当に仰る通りで、記事内でのミディアムユーザーの定義や、ナーフを求めている層への言及が甘く、解像度の低い考察になっている点は申し訳ないです。(今読んで自分で酷いなと思いました…)
しかし、シューティングスキルを否定するラクトの性能が、弱者救済と表裏一体にプレイヤーからの努力を奪う側面を孕んでいるというのは、当然理解した上で本主張を行っております。
何故ならプレイヤーの努力が報われること以上に、弱者救済に傾倒したゲーム性こそがスプラトゥーンのアイデンティティであると考えているからです。
Switchというファミリー向けのハードにおいて対人シューティングというジャンルが発達するには、APEXやVALORANTといった高いシューティングスキルを要求されるゲームに対し、参加できる敷居を下げる必要があります。そしてラクトのようなシューティングスキルが必要無いブキによって敷居を下げてきたからこそ、ファミリー層を含め広いユーザーに支持されてきたのがスプラトゥーンであると考えています。
しかし結局これも程度問題で(実際ラクトはナーフされましたし)、あまりに弱者救済に傾倒し過ぎると本当に努力の必要性が無いただのパーティゲームになるためバランスが重要なのですが、ライトなシューティングゲームとしてアイデンティティを確立するために、そのバランスが弱者救済に傾倒するべきだと私は考え、本記事で主張を行っています。
長文になりましたが、以上になります。
また、ご質問等あったら是非コメントください!
- 2022/12/03(土) 02:30:23 |
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- みすみ #-
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