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キントレスキーの墓場

主にDMやアニメの事を書き連ねるブログです。

ドギラゴン剣はどうして殿堂しないの?



◉オルガ・イツカ


2018年春。ドギラゴン剣はその環境を席巻した。

《“龍装”チュリス》が登場した2018年2月付近から【メタリカ】と入れ替わり最大母数の座を奪うと、今現在の2018年9月までの7ヶ月間で一度たりともその椅子を奪われることはなかった。

3月の全国大会で【赤青バスター】がBest8に4人とその半数を支配すると、その後行われたDMGP6thにおいても入賞数最大のデッキタイプとなる。

その支配率と入賞数は全盛期にまでは及ばずとも、それを彷彿とさせるほどの驚異。度重なる規制を前にしてもドギラゴン剣の拡張性とユーザーの試行錯誤は底を見せず、剣はあの頃より鋭く見えさえした。


そんな最中、殿堂発表の場は設けられた。夏、2018年ワールドホビーフェア。

今までも幾度となく禁止制限の話題に上がった彼だが、周りのカードを切り離し、何とかここまで生き延びた。

登場から既に2年が経過し、再度ここまで支配率・入賞数を高めた今こそ、ドギラゴン剣が消えるに相応しいタイミングだと誰もが予感していたのだ。

しかしその殿堂リストに彼の名が連なることはなかった。

何故か。そして逆に、今回のこの条件で消えないのなら、一体どのタイミングであれば彼が消える事があるのか。






◉ドギラゴン剣は本当に強過ぎるのか


まずこの話をするにあたって、本当にドギラゴン剣が殿堂カード足り得る出力を持っているのか、強過ぎるのかという点についてだ。

多くのユーザーが持つこの認識に関しては、確定的に間違いはない。実際にドギラゴン剣は「強すぎるカード」なのだ。これは主観だのユーザーの認識だのそういう類の話以前に、規制リストからの引き算で証明されている。

例えば、「ドギラゴン剣のデッキが強過ぎた!」そんな前例が一つや二つであれば、ドギラゴン剣でなくその周りの「《プラチナ・ワルスラS》単品が強過ぎた可能性」や「《裏切りの魔狼月下城》単品が強過ぎた可能性」が示唆されるのもまぁわかる。


しかしドギラゴン剣においては違う。


【赤黒デッドゾーン】だけで《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》が殿堂したか。
【墓地ソース】だけで《プラチナ・ワルスラS》が殿堂したか。
【5cジョリー】や【ロージアダンテ】だけで《裏切りの魔狼月下城》が殿堂したか。


答えはノーだ。


こう何度もその時のドギラゴン剣のデッキパーツが掛かると、引き算的に考えて、原因が《プラチナ・ワルスラS》や《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》の出力に問題があるのではなく、当のドギラゴン剣本人の出力そのものに原因が絞られるのは自明の理。

今回の《勝利のアパッチ・ウララー》なんかは特に顕著で、ドギラゴン剣が登場するまで環境にお呼びが掛かることなど無かったカードなのに、ドギラゴン剣が出てからは殿堂が騒がれるほどの出力を見せるカードとなった。

この点においても引き算的に考えると「《勝利のアパッチ・ウララー》の強さにユーザーや時代が追いついた」訳がなく、「ドギラゴン剣の影響によりウララーの出力が引き上がった」と考えるのが妥当である。


その上で当のドギラゴン剣に完全な規制を掛けたくないから、デッキ単位での出力を下げるために《勝利のアパッチ・ウララー》を殿堂させた、と言うのが真で間違いないだろう。

それに近しい規制を、この2年間ドギラゴン剣の周辺で行ってきた。それには相応のリスクも付いて回っているはずだ。


そうまでしてドギラゴン剣をデュエルマスターズに留めたかった理由とはなんなのか。






◉理由①.『殴り合いには相手が要る』


ドギラゴン剣が殿堂しない理由は、大きく分けて2つあると私は考えている。

その片方が「殴り合いには相手が要る」というものだ。まずはそちらから説明していこう。


◼︎ビートダウンは同時に存在しづらい

開発はクリエイターズレターでも述べているように、簡単さやスピード感あるデュエルマスターズを望んでいる。

それを実現させるためには、多くの場合、複数のアグロ・ビートダウンが環境にあることが望ましい。

勝利条件の達成が一番速いパンチの応酬こそ「スピード感」を出すのに手っ取り早く、まただからと言って環境に一種類のビートダウンのみでデュエルマスターズに「スピード感」をもたらすほどそのアーキタイプが環境に蔓延するのは当然避けたいだろうからだ。

しかし、意図的に複数のビートダウンを環境に存在させるのは、おそらく私たちが考えている何倍もカードデザインとデバックの難度が高い。

何故ならアグロ・ビートダウンの到達点はその全てがより早くダイレクトアタックを行うことであり、この勝利条件の単一性とゲーム速度の早さから、コントロールやコンボデッキに比べて個性の幅が小さく、どちらのデッキが強いかがハッキリし易いため、結果的にアグロ・ビートダウンの代表が環境に一つだけ残るといった自体になり易いからだ。

【ドギラゴン剣】が【レッドゾーン】より優れたように、
【レッドゾーン】が【ガトリング】より優れたように、
【ガトリング】が【黒緑速攻】より優れたように、
【黒緑速攻】が【赤単速攻】より優れたように、だ。

その幅の小さい個性により、環境対面での優劣がハッキリ分かれない限り、二つ以上のビートダウンが同時に存在するのは中々に難しい。


◼︎新たな個性の誕生

しかし、新DM期。《異端流し オニカマス》等はそれを変えた。

「強い・弱い」のベクトルに加えて、「メタられやすい・メタられにくい」という新たな個性を打ち出した。

直後、ビートダウンの主流に【レッドゾーン】が舞い戻る。その後も【ジョーカーズ】や【轟轟轟ブランド】といったドギラゴン剣より「弱い」が「メタられにくい」ビートダウンが、「強い」が「メタられやすい」ドギラゴン剣と同時に環境で活躍することとなる。

この新たなベクトルのデッキ性質が、アグロ・ビートダウンが環境に複数存在することを肯定し始めたのだ。


◼︎好敵手

そんな話を経て題目に戻るが、デュエルマスターズが簡単さ・スピード感のあるゲーム、ひいては殴り合いのゲームとして成立するには相手が要るのだ。

今もしドギラゴン剣が居なくなれば、《異端流し オニカマス》等によってもたらされた新たな個性は事実上失われ、アグロ・ビートダウン事情は以前までの一辺倒なものに戻り、今のように複数のビートダウンがパンチの応酬を繰り広げる環境は失われるだろう。

ドギラゴン剣はそんな殴り合いの相手として大変に相応しく、現状彼の代わりになるほどの器量を持った「強い」が「メタられやすい」ビートダウン向きのカードが存在しないため、現状ではドギラゴン剣は規制されないのではないかと私は踏んでいる訳だ。






◉理由②.『エキスパンションデザインの本流』


ドギラゴン剣が殿堂しないもう一つの理由は、近年のエキスパンションデザインに纏わる理由だ。


『DMの4年間と新たなジャンケンポン』(下に簡単な説明あるのでわざわざ読まなくても大丈夫。読みたい人は是非読んでね。)


上の記事でも書いたように、ここ数年のデュエルマスターズは、rev・revF・新DM、そして双極編全てを含めて、ある意味で1つの大きなエキスパンションデザインが形成されている事実はもう疑いようもない。

上のやつ読むの面倒な人に簡単に説明すると、

❶侵略・革命チェンジによるものすごいインフレ(みんな買う)

❷インフレカードに強い《異端流し オニカマス》等の登場(みんな買う)

❸《異端流し オニカマス》等に引っかからない新カードたち(みんな買う)

❹侵略・革命チェンジ以降インフレさせてないのに売れてる(すごい)

だ。

そして、私はこのエキスパンションデザインにおいてドギラゴン剣が重要な役割を握っていると感じている。


◼︎ドギラゴン剣の役割

ではこの数年に渡る大きなエキスパンションデザインを手掛ける上にあたり、ドギラゴン剣の役割とは何なのか。

それは「インフレ側の頂点」に君臨し続けることである。

先ほども挙げた

インフレ(《轟く侵略 レッドゾーン》、他侵略)

さらなるインフレ(《蒼き団長 ドギラゴン剣》、他革命チェンジ)

インフレカードのストッパー(《異端流し オニカマス》、他踏み倒しメタ)

ストッパーに対して強いカード(【ジョーカーズ】、【轟轟轟ブランド】、【卍】など)

という分立の中で、最大のカードパワーを要するインフレの象徴こそがドギラゴン剣なのである。

そう、上記の記事の根拠から、これらの数年に渡るエキスパンションデザインの流れがドギラゴン剣は愚かレッドゾーン登場時から逆算して作られたものであると仮定した時、ドギラゴン剣はその本流の中で単純な出力が一番高いカード、つまり「インフレ側の頂点」としての役割を与えられている。

言ってしまえば新DM・双極編のこの一年半の間、カードパワーそのものはインフレしていないどころかデフレさえ起こしていると言っても過言では無い。

実際問題、この一年半の間にドギラゴン剣のデッキコンセプトより単純出力が高いカード群が登場していたのなら、今彼が環境のトップにいるはずがない。

何故なら彼はここ一年半のカード群と違ってオニカマスを始めとした強力な踏み倒しメタ群に縛られているのだ。数多の規制で手足をもがれているのだ。

そんな様々なハンディキャップを抱えた上でなおも頂点。今目の前にあるこの事実こそ、ドギラゴン剣こそが現デュエルマスターズにおいて最強のカード・インフレ側の頂点足り得る何よりの証拠なのである。


◼︎もしドギラゴン剣が消えたら


ではその「インフレ側の頂点」を何故規制してはいけないのか。

それはこのエキスパンションデザインの本流が、インフレの頂点とビートダウンの頂点をドギラゴン剣から動かさないことを前提として形成されているからだと予想する。

そのドギラゴン剣を排除してしまうと、本来開発側が設定し想定したメタゲームのパワーバランスが崩れてしまう恐れがあるのだ。

場合によってはメタゲームだけに留まらず、後続の商品価値へも支障をきたす。

そしてそれはユーザーが判断すべきものではない。というか出来ない。何故ならこのデザインの本流は未だその全貌を明らかにしていないからだ。


例えばドギラゴン剣が消えたとしよう。

●オニカマスや《デスマッチ・ビートル》が使われなくなって、『Jチェンジ』が本来設定した強さ以上のモノになってしまうかもしれない。

●【卍】が相対的に勝てなくなり、次弾の『魔道具』のカード人気に支障をきたすかもしれない。

●現在の材料だけでは私たちが見えていないだけで、開発側にはもっと良くない未来が見えているかもしれない。


このように、本来のパワーバランスが崩れる恐れがあるかどうかを判断できるのは開発側だけなのである。

よってこの一連のエキスパンションデザインの全てが安全な着地をできると開発側が判断するまでは、手放しでドギラゴン剣を見送ることが出来ないのでないか、と言うのが私が考えている二つ目の理由だ。






◉近年のエキスパンションデザインが見せた弱点


ここ数年のデュエルマスターズのカードデザインは本当に素晴らしい。

特にこの数年に渡って一つのエキスパンションを描き、その中で新たなメタゲームを展開させる事で、カードパワーのインフレをせずとも購買欲を誘う商品を生み出す手法には何の非もないと感じるほどだった。

しかし何事にも弱点はあった。

今回であればそれは、想定したパワーバランスやメタゲームが実際と異なる場合が一番に挙げられるだろう。

想定しているよりもドギラゴン剣が強ければ、想定しているよりもオニカマスが弱ければ、この数年かけたエキスパンションデザインは過去も未来も含めて失敗に終わる恐れすらあった。それは想像を絶するほどデリケートなデザインとデバックが要求されたことだろう。

ドギラゴン剣こそ、己が身を環境に残すために周りのパーツを規制せざるを得ないといった多大な代償を払いはしたが、むしろこのデザイン間において、ドギラゴン剣の出力のオーバーさと《突如として現れた謎の豆》以外大きく目立った粗が無いのは、もう賞賛の他無い。

この一連のエキスパンションデザインが終わって次のデザインに移る時も、またこのような美しいデザインを期待したい。






◉ドギラゴン剣の将来


以上が、ドギラゴン剣が殿堂しない理由として私が導き出したもの+ちょっとした蛇足だ。

そしてここまで書いていて気になったことが一つだけある。

今後ドギラゴン剣の将来として予測されるのは以下の二つ。


❶「メタられ易さ」や更なる規制に引っ張られ、結果的に出力が落ち着き、ドギラゴン剣が殿堂しない未来。

❷彼が殿堂しない二つの理由の条件をどちらとも埋め、デュエルマスターズから必要とされなくなり殿堂する未来。


もし、もしだ。もし後者なら、

●「ドギラゴン剣に迫るほどの器量を持った強いがメタられ易いカードの登場」

または、

●「オニカマス等がもたらした新たな個性に頼らずとも複数のビートダウンが存在出来る土台の形成」

が必要になるのだ。


それが狙って出来るとしたら、すごい。いや、すごいなんてもんじゃない。凡才では想像すら出来ない圧倒的なデザイン力がそこにはある。


ヤバい。ヤバいぞ。まだまだ、デュエルマスターズからは目が離せない。


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  1. 2018/09/29(土) 21:40:23|
  2. DM
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